この記事は就職活動している人や機械加工初心者に向けて分かりやすく説明したいと思います。
先ず機械加工の事をまったく知らない方は、初めに機械加工超初心者向け講座から読んで頂ければ嬉しいです。
機械加工の事を少しでもご理解頂いた方が、この記事がとても分かりやすくなります。
この記事で分かる事
- 機械加工基礎知識が理解出来る
- 機械加工の危険さを理解出来る
- 機械加工初心者は何をしたらいいか理解出来る
大体5分位で読み終えます。
機械加工初心者が最初にする事5選
入社したての機械加工初心者が初めにする内容はどんなことなのでしょうか。
会社によって機械加工初心者の扱いに違いにありますが、僕の経験を元に説明します。
ステップ | 内容 | 目標 |
---|---|---|
ステップ1 | 基本概念の習得 | – 機械加工の基本を理解する。 – 機械加工用語を習得する。 |
ステップ2 | 安全教育 | – 安全手順と個人保護具の使用を理解する。 – 事故予防に関する意識を高める。 |
ステップ3 | 機械操作の基本 | – 機械の基本操作を習得する。 – 機械の起動、停止、設定などを理解する。 |
ステップ4 | 材料選択と取り扱い | – 材料の特性と選択基準を理解する。 – 材料の取り扱いと保管方法を学ぶ。 |
ステップ5 | 図面の読解 | – 技術図面の読解能力を向上させる。 – 寸法の理解を深める。 |
「どんな事するんだろう」と思っている方この記事を読んで参考にして欲しいと思います。
ステップ1 機械加工の基本を理解
最初のステップは機械加工の仕事を基本から理解してもらう事から始まるでしょう。
多くの会社は教育係の人に仕事を教えてもらう事になります。
中には「基本を理解しなくてもいいから作業だけしてればいい」と言われる会社もあるかもしれません。
ですが、どのような仕事でも基本を知っていないといざという時に応用が利きません。
これから機械加工で生活して行こうと決めた方は基本を理解してほしいです。
少し難しいかも知れませんが機械加工の基本的な事を紹介します。
項目 | 説明 |
---|---|
加工材料 | 金属、プラスチック、木材などの材料を使用します。 |
加工方法 | 機械加工には旋盤、フライス盤、ボーリング、マシニングセンター、研磨など、さまざまな方法があります。 |
切削工具 | ドリル、エンドミル、ターニングツール、バイト、ノミなど、材料を削るための工具を使用します。 |
切削速度 | 切削工具が材料に接触する速度。速い速度は高速切削を、遅い速度は仕上げ作業を行うために使用されます。 |
送り速度 | 切削工具が材料に対して進む速度。 |
切削深さ | 材料から削り取られる厚さ。 |
精度 | 加工された部品の図面寸法に定められた狙い値通りに入る精度の良さ |
冷却・潤滑 | 切削中に切削工具や材料を冷却し、摩擦を減少させるために冷却液や潤滑油を使用。 |
固定・保持装置 | 材料を固定し、安全に加工するための装置や治具。 |
NC制御 | 数値制御(NC)システムを使用して、加工プログラムを制御し、材料を加工する。 |
仕上げ作業 | 切削後、研磨、研削、手仕上げなどの仕上げ作業が行われ、部品の表面仕上げをします。 |
機械加工初心者に取っては少し難しいですよね。
先ずは配属された所で教育係の人と与えられた仕事をこなしましょう。
作業しながら徐々に機械加工の基本を覚えていくスタイルが良いと思います。
機械加工用語
基本の中に機械加工用語と言われる専門用語があります。
機械加工初心者には先ず基本の専門用語を説明します。
専門用語 | 説明 |
---|---|
旋盤 | 回転する材料を固定し、切削工具を材料に対して移動させる機械。主に円筒状の部品を加工するのに使用されます。 |
フライス盤 | 切削工具を上下左右に動かし、材料を切削する機械。複雑な形状の部品を作成するために使用されます。 |
ボーリング | 円筒状の穴を加工する事。ボーリングツールを使用して内径を削る作業。 |
旋削 | 旋盤を使用して材料を回転させ、外径や内径を削る事。ターニングとも言う。 |
研削 | 表面仕上げのため砥石などで部品の表面を研磨する事。 |
ドリル | 材料に穴を空けるために必要な物。 |
切削速度 | 切削工具で材料を1分間当たりに削り取る長さ。通常、m/minまたはVで表す。 |
送り速度 | 材料を加工する時に切削工具が1分間当たりに進む速さ。通常、mm/rev やFで表す。 |
切り込み | 材料を削り取る時の切り込み量。 |
NC制御 | 数値制御(NC)システムを使用し、プログラムを制御し、高精度の加工。 |
ク-ラント | 切削中に切削工具や材料を冷却し、摩擦を減少させるために使用される液体。 |
治具 | 材料を固定し、正確に位置付けるための装置。 |
公差 | 図面寸法に記載されているはめ合い公差やJIS公差 |
切削工具 | 材料を削るために使用される工具。 |
仕上げ | 切削後、部品の表面仕上げを仕上げる事または、バリ取り作業 |
他にも専門用語は沢山ありますが、とりあえずはこれだけで大丈夫でしょう。
もっと分かりやすく解説した記事がありますから確認して下さい。
機械加工の世界への第一歩!初心者が最初にするべき7つの重要なステップ
機械加工初心者は使うこともないですが、覚えておいた方がいずれ役に立つでしょう。
ステップ2 作業ミスで怪我のリスク
機械加工の仕事は材料の取り付けをミスしたり、プログラムをミスしたりすると機械を壊すリスクや大きな怪我に発展するリスクが大いにあります。
ちょっとしたミスでも大きな事故に発展するほど機械加工は危険な作業になります。
下の動画を見るとよく分かります。
材料に衝突させたり、工具や材料が破損して目の前に飛んで来たら本当に危険です。
比較的多い人的ミスの怪我を表にまとめました。
人的ミスの種類 | 怪我や事故の可能性 |
---|---|
1. 機械の誤操作 | – 指や手が機械の部品に挟まれ、損傷や切断。 – 間違ったスイッチ操作により機械が誤作動。 |
2. 切削工具と接触 | – 切削工具に手や指が触れた際、手と指の損傷。 |
3. 落下物や飛散物の怪我 | – 作業中に材料が飛散し、目や顔に損傷。 – 落下物による足や頭部に損傷。 |
4. 高い所からの転倒 | – 高所作業からの転落による骨折や打撲傷。 |
5. 高温表面との接触 | – 熱い機械部品や材料に触れて火傷。 – 熱い液体や金属のこぼれによる火傷。 |
人的ミスで大きな事故、怪我をした例はたくさんあります。
間違った操作や材料取り付けをミス等をすると人生が台無しになるリスクがある事を理解して下さい。
保護具の着用
機械加工初心者だけのではありませんが事故を発生させないように保護具をしっかり身に付けましょう。
作業服の正しい着用、ヘルメット、安全靴、保護メガネの着用等で大きな事故の発生を未然の防ぐ事が出来るでしょう。
サイズに合わない作業服を着たり、安全靴のかかとを潰して履いたりしていると事故の元なので注意が必要です。
ステップ3 機械操作の基本
機械加工初心者は現場に配属してすぐに機械加工操作をすることが多いです。
いきなり難しい事はしませんから安心して下さい。
- 材料を治具に取り付ける
- 安全扉を閉じる
- 起動ボタンを押す
- 加工が終わるまで待つ
- 安全扉を開ける
- 製品を治具から外す
- 最初に戻る
この単純作業の繰り返しになります。
機械の条件設定等は初心者にやらせる会社はまずありません。
治具に材料を付ける作業とNC制御機の起動ボタンを押す作業が多いです。
こちらで詳しく解説しています。
非常停止ボタン
機械には必ず非常停止ボタンが付いています。
付いている理由は加工前や加工中に機械や作業者に異変が起きた時に押すためです。
僕の経験上、最初は異変が起きていても非常ボタン押していいのかどうか迷ってしまい押せないと思います。
非常停止を押すべき状況はどのような事なのか分かりやすく説明します。
状況 | 非常停止ボタンを押すべき事 |
---|---|
人身安全 | – 危険な操作 – 事故が発生する可能性 – 人の安全が脅かされている時 |
機械故障 | – 機械の異常な動作 – 異音や振動 – 不正確な動作 |
火災 | – 機械からの火花 – 冷却液や切屑による火災が発生した時 |
材料の挟まり | – 材料や工具の挟まり – 異物が機械に挟まれている時 |
危険な状況 | – 操作者が機械動作中に怪我 – または危険な状況の時 |
このような時は迷わず非常停止を押すべきです。
迷っていると最悪な事態になりかねませんので、生産など後回しにして非常停止を押しましょう。
ステップ4 材料選択と取り扱い
製品の図面等には使用材料が書いてあるので必ず確認する必要があります。
材料の種類は金属だけでも、鉄、銅、アルミ、ステンレス等沢山あります。
例えば鉄の加工するとしますが実は数えきれないほど種類があります。
沢山ありすぎてきりがないので一般的な例にあげます。
鉄の種類 | 主な成分 | 特性と用途 |
---|---|---|
鋼鉄 (Steel) | 鉄、炭素、合金元素 | – 強度、耐久性、加工性に優れる。 – 自動車、建築、工具などで使用。 |
鋳鉄 (Cast Iron) | 鉄、炭素、シリコン | – 高い圧縮強度と耐熱性。 – エンジンブロック、排水管、鍋などで使用。 |
鍛鉄 (Wrought Iron) | 鉄、微量の炭素 | – 柔軟で耐食性に優れる。 – 手すり、門、装飾品などで使用。 |
ステンレス鋼 (Stainless Steel) | 鋼鉄、クロム | – 耐食性があり、食品加工、建築、医療機器に使用。 |
ツール鋼 (Tool Steel) | 鋼鉄、合金元素 | – 高温、高圧力、摩耗に耐える。 – 切削工具、金型、ダイスに使用。 |
アルミニウム含有鉄 (Alloy Steel) | 鋼鉄、合金元素 | – 特性向上のために合金元素を添加。 – クロム、ニッケル、モリブデンなどが使用。 |
軟鉄 (Mild Steel) | 鋼鉄、低炭素 | – 一般的な用途で使用。 – 溶接、建築、構造物など。 |
アルミニウム鋼 (Aluminized Steel) | 鋼鉄、アルミニウム | – 耐食性に優れ、高温に耐える。 – 自動車排気管、建築材料に使用。 |
鉄だけでもこれだけ種類があります。
さらに炭素(C)やモリブデン(M)の含有量等によってさらに種類分けされます。
材料の取り扱いと保管
材料の取り扱いの仕方も重要な事です。
材料の大きさが一緒なら見た目では分かりません。
細心の注意を払って間違えないような保管方法を取る必要があります。
材料の表記は必ず必要ですが、仮に表記が無い会社なら、知っている人に聞きましょう。
間違った材料で加工して製品になってしまうとさらに分からなくなります。
ステップ5 図面の解読
機械加工初心者の難関だと思われる図面の解読をしていきましょう。
日本で出回っている図面は三角法という形式で作図されています。
図面に記載してある事を分かりやすく説明します。
項目 | 説明 |
---|---|
線種と記号 | – 図面上の異なる線の意味。 |
寸法 | – 直線寸法、半径、直径、角度などがある。 |
視図 | – 正面図、側面図、断面図など |
断面図 | – 内部構造を示す |
表面仕上げ | – 表面仕上げ要件と記号、 粗さ、平滑度、仕上げ方法など。 |
寸法許容差 | – 寸法の許容範囲、記号と数値等で表記 |
幾何学寸法 | – 幾何学寸法、位置寸法、同軸度、平行度など。 |
品名(部品名) | – 図面上で使用される品名 – 部品名、数量、部品番号などが含まれる。 |
図面規格 | – 図面に記載されている規格、無ければ業界規格(例:ISO、JIS) |
たくさんありますが、最初は寸法と寸法の許容範囲を理解しましょう。
こちらで詳しく解説した記事がありますのでもっと詳しく知りたい方はどうぞ。
ほとんどの会社は機械加工初心者にも分かりやすいようにチェックシ-トを作成してあったり、先輩や上司がどこを測定すればいいか分かりやすいようにしてくれています。
機械加工初心者は作業に集中!
最後までご覧いただきありがとうございます。
僕もそうでしたが、最初からすべて理解するのは難しいと思います。
機械加工初心者の方はまず作業に集中して頂きたいです。
安全に作業出来るようになってから徐々に学習していくのが良いかと思います。
本文を何度も見返して頂き、出来るだけ早く覚えて頂ければ幸いです。
コメント
機械加工に従事されている多くの方に取って、知識が詰め込まれいます。
又、これから志す方に取っても、理解出来る案内書になると思います。
初心に戻って勉強される方やステッブアップを検討される方にとってもきっかけになる事が書かれています。
基本的な操作方法、工具材料の取り扱い、幅広い機械加工に関する用語の説明、図面の読み方と、更に安全に関する事を丁寧に説明しています。
多くの方にに読んで頂き、技術の習得と向上に役ただせて戴きたいブログです。
これからも、機械加工の技術向上発展に貢献される事を願っております。
コメントありがとうございます。
本文を最後まで読んで頂いた事が良く分かります。
前回に引き続き気にかけて下さりとても励みになります。
相変わらぬ応援のほどよろしくお願いいたします。